2019.8.24〜26自転車の旅②

日の出前に出発。

1、2台車を見ただけで、人の気配はどこにもない。

まだ町は寝ている。景色は真っ暗だ。

 

しばらくすると峠の麓にきた。

『通行不可』となっていた。

前回チャリで旅した時も車は通行不可だけどチャリは通れたので『通れますように』と祈ってそのまま突き進んだ。

案の定、土砂崩れの工事はほとんど終わっており問題なく通れた。

夜が明けかけていたころに峠の頂上に着いた。

空が焼けている。

何とか麓から自転車降りずに漕ぎ切れた。

『やったー!!!』

と調子に乗っていたのも束の間。

『あ〜目の下かゆっ!』

と思って、下りの爆走(細い林道で小石がいっぱい落ちていた)の途中に一瞬片手を離して顔を掻いた。

『ガタン』

あれ?何か踏んだ?

そう思った瞬間終わった。私のタイヤさん。

私の前輪さんががかわいそうなほどペチャンコになっている。

あんなに登り頑張ったのに。

目の下なんか掻かんかったらよかった。

後悔先に立たず。

過ぎ去ってしまったことをぐちぐち言っても仕方ないのは分かっているけど、この峠を下りきったら今回の目的地、湯原温泉に着いていたと思うとぐちぐち言わずにはいれなかった。

おそるおそるブレーキをきかせながら自転車に乗ったり降りたりしながら湯原の町まで降りてきた。

自転車屋さんやホームセンターを検索するも少なくとも10キロ以上は離れている。

自転車なら30分ほどで行けるが、歩くと2時間くらいはかかる。

それに隣町まで行くのもきっとまた峠を越えないといけない。

目的地まで辿り着けたのは幸いだが、悲しいかな家から一番離れた場所に今いるのだ。

自転車を置いて、電車で帰ってここまで軽トラでとりに来る?

最寄り駅まで10キロ以上?バスあるん?

岡山駅周りで行かな帰れん?

終電ギリギリで家からの最寄り駅まで着く?

最寄り駅まで親に迎えにきてもらう?

策を考えようにも全く頭が働かない。

とりあえず湯原温泉であったまろう。

途中開店前のガソリンスタンドがあった。

おじいちゃんが開店準備をしていたから『この自転車のパンク直せますか?』と尋ねてみた。

『こんなタイヤ(フレンチ)、したことないでできるか分からん。できても時間がかかりましょうで。』

ガックリ。

はあ〜最悪最悪最悪!最悪!!とぶつぶつ文句を言いながら温泉についた。

既にたくさんの方が入っている。

ここはダムの目の前の河原にある無料で入れる露天風呂なのだ。

清々しい気持ちで入る予定だったのに…。

入る前自転車押して歩いてると観光客のご夫婦とすれ違った。

『自転車で旅してるんですか?どこから来たんですか?』

亮介くんが何か色々話してる。放心状態の私はボケーっとしていた。

温泉は裸のおじさんがほとんどで、私も入る気満々だったけど、さすがにこんだけ人がいると入りづらい。

足湯だけしてたけど、気持ちもどんよりしてるしスッキリしないので、タオル巻き巻きで何とか入った。

なかなか熱くていい湯だな。

さっきのご夫婦が戻ってきた。

『地元の方に聞いたんですが、もう少し行ったところにガソリンスタンドがあって、そこなら直してくれるかもしれないです!』

亮介くんがパンクの件を一部始終話していたみたいで、気にかけて戻ってきてくださったのだ。

『さっき来る途中に寄ったんですけどダメかもって言われました』

そう答えた。

ご夫婦の優しさが身に染みて、何だかちょっとほっこりした。

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お風呂から上がって、とりあえずダメ元でもさっきのガソリンスタンドに戻ってみた。

朝声をかけたおじいちゃんはいない。

出勤してきたおじさんに一部始終を話した。

『フレンチ式はやったことないけど、原理は同じですよね?空気入れはあるんですか?とりあえずやってみましょう!』

希望が見えてきた!!そして、奇跡的に空気入れは持ってきていた!

慣れた手つきで作業をこなしていく。

『よし、これで空気入れてみましょうか』

ペチャンコだったタイヤがどんどん膨らんでいく。

すごい、パンクが直った!

『この辺りのママチャリや通学のチャリは直しているんで』と、いつも通りのことですと言わんばかりに、少し照れ臭そうに言っていた。

ありがとうございます!

本当に感謝してもしきれないとはこのこと!

空気のあるタイヤの何と幸せなこと。

油断せずちゃんとパンク修理キットを持ってかないといけないな、と反省した。

そして、その辺の準備を亮介くんに任せきっていたことも合わせて反省した。

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